タクシー運転手は楽すぎる?稼げるの?仕事の実態を徹底解説

「楽そう」というイメージをもつ人も多いタクシー運転手。しかしタクシー運転手経験者の中には、「つらい仕事だよ」という声もあれば、「確かに楽だよ」という声もあります。

人によって、楽だと感じることは違います。タクシー運転手があなたにとって楽かどうかは、仕事の実態を詳しく調べないと分かりませんよね。

そこでこの記事では、タクシー運転手の仕事の実態をもとに、タクシー運転手が楽だと言われる理由、きついと言われる理由を解説しています

また、タクシー運転手は稼げる仕事なのか、タクシー運転手に向いているのはどんな人なのかといったことについても説明しているので、ぜひ参考にしてくださいね。

タクシー運転手は楽すぎる?

タクシー運転手は、冷暖房のきいた車の中でずっと座っていられるし、運転が好きな人にとっては楽すぎる仕事なのでは?というイメージがありますよね。

実は仕事の実態を見てみると、タクシー運転手が楽だと言われる理由は他にもあります。

タクシー運転手が楽だと言われる理由

タクシー運転手が楽だと言われる理由は、4つあります。

・人間関係に悩むことがない
・自分のペースで働ける
・休日が多い
・残業などのストレスがない

1つずつ詳しく説明します。

人間関係に悩むことがない

まず1つ目は、人間関係に悩むことがないという点です。

タクシー運転手は、一人で行う仕事です。自分以外の人、上司や部下と一緒に仕事を行うことはありません。そのため、仕事のストレスでよくある、職場の人間関係の悩みとはほぼ無縁です。

出庫する前後は、1時間程度、同僚と過ごす時間がありますが、最低限の挨拶で済んでしまいます。気の合う同僚がいれば、勤務中に乗せたお客さんの話とか、抜け道の話といったちょっとした雑談をする程度です。

このように、上司や部下とのコミュニケーションをとるのは本当に短時間なので、職場での人間関係のストレスを抱えることはほぼないと言える環境です。社会人のストレスとして最も多いと言われる人間関係の悩みが生まれにくい環境なので、タクシー運転手は楽だと言われるのです。

自分のペースで働ける

2つ目は、自分のペースで働けるという点です。

タクシー運転手は、個人で営業する仕事です。集客を行うのも、移動するのも、個人の判断です。一つのプロジェクトを複数人で行っていくといったことがないので、人と合わせる必要がありません

また、タクシー運転手は歩合制です。お客さんを乗せれば乗せるほど売り上げはのびていきます。そして、売り上げに応じた給料がもらえます。売り上げが低いと給料は下がりますが、会社に怒られることはありません。

上司から「君の売り上げは大丈夫なのか」と詰められることも、後輩にいいところを見せなきゃとプレッシャーを感じることもないのです。

タクシー運転手は人と合わせる必要がない個人作業で、ハイペースで仕事をするのか、ゆっくり仕事をするのか自分で決められる環境で、自分のペースで働ける仕事なので、楽だと言われるのです。

休日が多い

3つ目は、休日を多くとれるという点です。

タクシー運転手の仕事は、隔日勤務が主流です。隔日勤務は勤務時間が長い分、翌日が必ず休みになります。極端に言えば、月の半分を働き、半分は休みということになります。

また、タクシー運転手の仕事はシフト制なので、自分の都合で休みを取りやすい傾向があります。

タクシー運転手の仕事は、丸一日の休日が多く取りやすい仕事のため、家族との時間や自分の趣味の時間といったプライベートな時間を作りやすいという点で、楽だと言われています。

残業などのストレスがない

4つ目は、残業などのストレスがないという点です。

タクシー運転手は、お客様を乗せて目的地に送り届ければ仕事終了です。勤務時間外に仕事をすることはありません

勤務時間内に資料作りが終わらなくて残業になってしまったり、休日なのに電話がかかってきたり、仕事のことが心配で気持ちが休まらなかったりといったストレスがないのです。

タクシー運転手の仕事は勤務時間内に必ず完了するものなので、残業などのストレスがなく、楽だと言われています。

タクシー運転手はきついと言われる理由

逆に、タクシー運転手はきついという声も多くあります。いったい何がきついと言われるのでしょうか。

タクシー運転手がきついと言われる理由は、4つあります。

・勤務時間が長い
・事故やアクシデントへの精神的ストレス
・ノルマがある
・理不尽な客への接客

1つずつ詳しく説明します。

勤務時間が長い

1つ目は、勤務時間が長いという点です。

タクシー運転手の仕事は、勤務時間が15時間~20時間と、他の仕事よりも長いです。タクシー運転手の勤務体系で主流なのは隔日勤務です。隔日勤務とは、朝から翌早朝までの約20時間を勤務し、その間に3時間ほどの休憩時間をとるという勤務体系です。

自分の都合で休息時間をとれるものの、20時間拘束されるのはきついと言う声が多いです。慣れるまでは体力的にもしんどいでしょう。

1日20時間勤務と言われると確かにきついイメージですが、丸一日の休日が多く取れるので、この働き方が楽だという声もあります。勤務体系には他にも、夜間のみ、日中のみという働き方もあるので、自分に合った働き方を選ぶと良いでしょう。

事故やアクシデントへの精神的ストレス

2つ目は、事故やアクシデントへの精神的ストレスがあるという点です。

タクシー運転手は、一般のドライバーよりも長時間運転しているので、その分、事故やトラブルに合うリスクも高くなります

どんなに注意して運転していても、追突事故や事故に巻き込まれることがあります。安全運転を心がけるのは当たり前ですが、どうしても避けられない事故やアクシデントに巻き込まれてしまうことがあるので、精神的にストレスを感じやすくなってしまうのです。

ノルマがある

3つ目は、ノルマがあるという点です。

ノルマと言っても一般的なノルマとは違い、タクシー会社では足切りと呼ばれるものが設定されています。足切りは、ドライバーのモチベーションを維持するために設定されており、足切りに達しないと減給されてしまいます。

タクシー運転手の給料は歩合制で決まります。歩合制の場合、給料は、

売上×歩合率

で決まります。

例えば、売上が100万円で歩合率が50%だった場合、給料は、

100万(売上)×50%(歩合率)=50万円

となります。
足切りに達することができなかった場合、この歩合率が下がってしまったり、ボーナスが減給されてしまったりするので、結果的に給料が減ってしまうのです。

一般的な「ノルマ」とは意味が違い、足切りが達成できなかったからといって、会社から責められることはありませんが、給料が減ってしまうのはつらいですね。

しかし、実際には、真面目に働いていれば足切りを達成できないということはほとんどありません。コロナ禍のような社会的トラブルによりタクシー利用者が極端に減ってしまうということはありますが、普段から足切りに追われるといったことはないです。

また、足切り制度のないタクシー会社もあります。歩合率も会社によって違うので、自分に合ったタクシー会社を選ぶことが大切です。

理不尽な客への接客

4つ目は、理不尽な客への接客をしなければならないという点です。

タクシー運転手は、お客様を選ぶことはできません。「あなたは理不尽そうだから乗せません」なんてことはあり得ません。

タクシーには運送引き受け義務があり、空車のタクシーが乗車を断わることは「乗車拒否」という違法行為にあたります。しかし、例外もあります。

例外的に、乗車拒否ができるのは、次の場合です。

定員オーバーになるとき
コミュニケーションが図れないほど泥酔している、不潔な服装をしているなど、他のお客さんに迷惑をかけることが想定されるとき
遠距離移動の際に有料道路ではなく、一般道の走行を強要されるとき
有料道路を利用した際の通行料の支払いを拒否するとき
重病者で付添人がいないとき
危険物を持ち込もうとするとき
法律で定められている、または新型の感染症の所見があるとき

これらの例外に一致しない場合は、必ずお客様を乗せなければなりません。挑発的な人であろうと、泥酔した人であろうと、行き先が告げられるのであれば、目的地まで乗せる義務があります。

多様なお客様に対応する必要があるので、タクシー運転手はきついと感じる人もいます。また、乗せたときは問題がなくても、乗車中に強盗や暴力事件に巻き込まれるリスクもあります。そういったリスクへの対処法も知っておく必要があります。

タクシー運転手は稼げる?

次に、タクシー運転手は稼げる仕事なのか、仕事の実態について解説します。

タクシー運転手の仕事の実態

労働時間

まず、労働時間です。タクシー運転手は勤務時間が長いというのは先ほども話した通りです。詳しく見ていきましょう。

タクシー運転手の勤務形態は、昼日勤、夜日勤、隔日勤務の3種類があります。

勤務形態 勤務時間 休憩 1か月の勤務回数
昼日勤 7時~16時または
8時~17時
(8~9時間程度)
1時間 20~22回
夜日勤 17時~翌2時または
18時~翌3時
(8~9時間程度)
1時間 20~22回
隔日勤務 8時頃~翌4時頃
(最大21時間)
3時間 11~13回

昼日勤や夜日勤の場合、休憩が1時間なので、実質労働時間は約8時間と、一般的な会社と変わりません。隔日勤務の場合、休憩は3時間で、実質労働時間は15~18時間になります。

タクシー会社では、隔日勤務が主流です。1日働いて1日休むといった勤務形態です。隔日勤務は月に11~13回勤務で、残りの17~20日は休日ということになります。1回の労働時間は長いですが、休日はかなり多く取れるので、そこに魅力を感じる人も多くいます

給料

次に給料についてです。

全国ハイヤー・タクシー連合会の統計調査「タクシー運転者の賃金・労働時間の現況」によると、令和4年のタクシー運転手の年収は平均361万円です。月給だと約30万円です。

ただ、タクシー運転手の給料は歩合制なので、個人差がとても大きいです。また、地域によってもかなり差があります。

そのため、実際のところ年収は、200万円~700万円と幅があります。中には1000万円も稼ぐ人がいるという声も。

歩合制で給料が決まるタクシー運転手は、稼ごうと思えばかなり稼げるし、生活費さえ稼げればいいと思えば無理せずに少なく稼ぐこともできます

福利厚生

最後に、タクシー運転手の福利厚生についてです。

タクシー運転手の福利厚生は、他の一般的な企業同様、社会保険年次有給制度があります。その他に、タクシー会社ならではの福利厚生もあるので紹介します。

・二種免許取得費用の免除
・乗務開始後の保証給
・班制度
・入社祝い金

二種免許取得費用の免除は、タクシーを運転するために必須の二種免許の取得に係る費用が免除される制度です。免許をとるためには自費で20万円前後かかりますが、これが全額免除されるのはうれしいですね。

乗務開始後の保証給は、未経験者向けの福利厚生として設定されていることが多いです。乗務開始後の数ヶ月間、給料の保証をしてくれるので、初めてでも安心して仕事をすることができますね。

班制度は、ドライバーをいくつかグループ分けし、それぞれのグループに班長を置いて、班員をサポートする仕組みです。全ての会社にある福利厚生ではありませんが、新人をサポートするために取り入れている会社もあります。

転職することで入社祝い金がもらえる会社もあります。相場は10~30万円です。(転職サイトの場合は5~10万円)

その他にも、勤務年数や無事故の表彰制度社員旅行といった、モチベーションアップのための福利厚生がある会社もあります。大手の会社の中には、社員食堂を完備しているところもありますよ。

タクシー運転手に向いている人とは?

最後に、タクシー運転手の仕事の実態を踏まえて、タクシー運転手に向いている人とはどんな人なのか、考えていきます。

・運転が好きな人
・前向きにおもてなしができる人
・歩合制に魅力を感じる人

運転が好きな人

まず一番は、運転が好きな人です。勤務中、ずっと運転をしているわけなので、運転が嫌いだと、ただつらいだけの仕事になってしまいますね。

また、運転は好きだけど、人を乗せるのは好きじゃないという人には向いていません。人を乗せることでストレスになってしまうからです。

タクシー運転手の仕事は、人を乗せて車を走らせることが好きだという人に向いています。

前向きにおもてなしができる人

2つ目は、前向きなおもてなしができる人です。先ほど、理不尽な客を乗せることもあるという話をしましたが、そんなときでも心折れずにおもてなしできる人は向いています。

また、理不尽な客でなくてもお客様とトラブルになってしまったときは、誰でも引きずってしまうもの。しかし、マイナスな気持ちを引きずったままだと、最悪交通事故も起こしかねません。

そのため、何かトラブルがあっても引きずらず、気持ちの切り替えができる人は、タクシー運転手に向いているといえます。

歩合制に魅力を感じる人

3つ目は、歩合制に魅力を感じる人です。タクシー運転手の給料は歩合制で決まります。稼ぐことも稼がないことも、自分次第です。

売上をのばしていくことに魅力を感じる人であれば、積極的に売上をのばす方法を探ったり研究したりするので、楽しく仕事ができるはずです。

逆に、売上がなかなかのびず、給料も上がらない負の連鎖に陥ってしまうのが嫌だ、固定給の方がいいという人は、タクシー運転手は向いていないです。

まとめ

今回は、タクシー運転手の仕事の実態をもとに、タクシー運転手が楽だと言われる理由、きついと言われる理由を解説しました。

また、タクシー運転手は稼げる仕事なのか、タクシー運転手に向いているのはどんな人なのかといったことについても説明しました。

タクシー運転手が楽だと言われる理由としては、基本的に一人で行う仕事なので人間関係に悩むことがなく、自分のペースで働けるという点丸一日の休日を多く取れるという点勤務時間内に完結する仕事なので残業などのストレスがないという点が挙げられます。

半面、隔日勤務のため20時間近い長時間勤務になる点足切りを達成できないと減給になる点交通事故やトラブルに巻き込まれるかもしれないストレス理不尽な客を乗せるかもしれないストレスなど、タクシー運転手はきついと言われることもあります。

そして、タクシー運転手は、歩合制に魅力を感じ、長時間勤務でもいいから丸一日の休日をたくさん取りたいという人に向いている仕事だということが分かりました。

いかがだったでしょうか。タクシー運転手への転職を考えている方、タクシー運転手に興味がある方の参考になれば幸いです。

最後までお読みいただきありがとうございました。